表面仕上げ

塗装、めっき、陽極酸化、粉体塗装、PTFEコーティング、パッシベーションなどの表面処理は、用途に応じて金属・プラスチック部品の性能を精密に向上させます。主な利点として、耐食性、耐摩耗性、耐熱性、電気伝導性、生体適合性、潤滑性、外観の向上が挙げられます。表面工学は材料のポテンシャルを最大限に引き出し、耐久性、摩擦特性、導電性、ブランドイメージなどの重要性能を最適化します。適切な表面処理を施すことで、製品は競争の激しい市場で必要とされる外観、環境耐性、精度、耐用年数を兼ね備えることができます。

表面処理のメリット

表面処理により、外観重視、耐食性向上、耐摩耗性、電気特性、生体適合性など、部品の特定性能を用途に合わせて強化できます。これにより、基礎材料の適用範囲が広がります。

• 耐食性：陽極酸化、めっき、塗装などが金属部品を腐食や摩耗から保護し、耐久性を向上させます。特に屋外や化学環境下で有効です。

• 耐摩耗性：浸炭、窒化、誘導焼入れなどの表面硬化処理が、歯車やベアリングなど摩擦の多い部品の摩耗を抑制し、使用寿命を延ばします。

• 電気伝導性：電気めっきは金属表面の伝導性を精密に制御でき、電子部品や接点に不可欠です。

• 潤滑性：PTFEや二硫化モリブデンのコーティングが摩擦を低減し、滑り性を向上させます。可動部に有効です。

• 美観：めっき、陽極酸化、粉体塗装などは着色や装飾が可能で、製品のブランドイメージを向上させます。

• 接着性向上：表面エッチングやプライマーの塗布により、塗料や接着剤、樹脂の付着性が向上し、異種材料の組み合わせに効果的です。

• 生体適合性：医療用インプラントには、パリレンや窒化チタンなどの生体適合コーティングが必要で、拒絶反応を防ぎます。

代表的な表面処理

PVD（物理蒸着）

物理蒸着（PVD）は真空中で薄膜を堆積させるプロセスです。被膜材を加熱またはイオンボンバードで蒸発させ、蒸気を基材表面に均一に凝縮させ、0.1～5µmの薄膜を形成します。

• 耐摩耗・耐食性：PVDで窒化チタンや窒化クロムなどの硬質薄膜を堆積し、工具や機械部品、医療インプラントの耐久性を向上します。
• 生体適合膜：チタンやクロムのPVD膜は体内インプラントに適し、異常反応を防ぎます。
• 機能性コーティング：反射低減、UV遮断、半導体の拡散バリア、太陽電池の反射層、装飾品の硬質仕上げなどに応用できます。

粉体塗装

粉体塗装は乾式の塗装法で、帯電した粉末樹脂を被塗物に付着させ、加熱炉で焼き付けて均一な硬質膜を形成します。剥がれ、色あせ、摩耗、腐食に強く、環境にも優しい処理法です。

• 高い耐久性：粉体塗装面はキズや剥がれに強く、使用頻度の高い部品に最適です。
• 美しい仕上がり：液体塗料のように垂れず、均一な膜厚が得られます。
• 環境配慮：溶剤不使用、VOC排出量が低く、余剰粉末のリサイクルが可能です。

研磨

研磨サービスでは、自動・手動技術を駆使して表面の凹凸や傷を除去し、鏡面のような光沢仕上げを実現します。均一で欠陥のない品質を保証。

• 美観向上：表面に鮮やかな光沢を与えます。
• 欠陥除去：凹みや傷を取り除き、粗さを低減します。
• 摩擦低減：滑らかな表面が摩擦を減少させ、動作効率を高めます。
• 塗膜密着性向上：研磨面はめっきなどの塗膜密着性を向上させます。

熱処理

焼きなまし、焼き入れ、焼き戻しなどの熱処理を仕様に合わせて実施し、強度、耐久性、加工性を最適化します。高品質な熱処理で素材特性を向上。

• 強度向上：焼き入れ・焼き戻しにより微細組織が変化し、材質強度が向上します。
• 耐久性強化：疲労破壊を抑制し、部品寿命を延ばします。
• 加工性向上：焼きなましにより延性が高まり、複雑形状の成形が容易になります。
• 寸法安定性向上：内部応力を低減し、変形や反りを抑制します。

陽極酸化

陽極酸化は、アルミニウム部品表面に耐食性・耐摩耗性の高い酸化膜を生成する電気化学処理です。

• 耐食性：保護膜が腐食や気候劣化を防ぎます。
• 装飾性：染色により多彩な色調が可能です。
• 電気絶縁性：膜が絶縁層として機能し、コンデンサなどに利用されます。
• 硬度向上：表面硬度を3倍程度に高めます。

インモールドデコレーション（IMD）

IMD（インモールドデコレーション）は、射出成形中に直接グラフィックを成形品に付与する技術で、後工程を省き高品質で耐久性のあるデザインを実現します。

• 工程簡略化：成形時に装飾を完結し、後加工を不要にします。
• コスト削減：複数工程を統合し、工数とサイクルタイムを短縮します。
• 耐久性：グラフィックが樹脂内に埋め込まれ、摩耗に強い仕上がりです。
• デザイン自由度：複雑形状やアンダーカット部、裏面装飾も可能です。